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お誂え訪問着

半年以上かけお客様と制作しました、牡丹の訪問着が出来上がりました。


近代日本画の巨匠 「速水御舟」作 牡丹1926(大正15)年


お客様からの御依頼は『速水御舟』の牡丹をリアルに描いて欲しいと言うものでした。
下絵の段階で何度か修正し、漸くできあがった作品です。

主に京友禅では生地に青花で下絵を描き、下絵に沿って筒から糊を絞り出しながら白生地の上に糊を置いて描きます。
この糊が、糸目糊と呼ばれ、次の彩色の工程で、染料がにじみでるのを防ぐ堤防の役目をするのですが、今回の速水御舟氏の絵は夢幻的な絵でありながらエレガントなのであえて糸目糊は、部分使いすることにしました。
全て糸目で仕上げてしまうと糸目の輪郭が残ってしまい夢幻的なものではなく、カッチと仕上がってしまうからです。



工程
先ず柄の部分を生地の裏から鉛筆でアタリ(トレース)し、表から確認しながらトレースした内側にロウ伏せ(マスキング)します。
ロウ伏せしたまま引き染めし(地色)そのままの状態で友禅職人さんに柄の周りをボカシ友禅していただきます。
この段階で、キハツ水洗しロウを落とします。
ロウを落とした状態は、地色と柄の周りのボカシ以外の柄は真っ白になります。

次に、葉の葉脈に糊置きして地入れ(糊を定着させるため)致します。
葉の部分を友禅し、花の部分は糸目が無いので、無線友禅(素描き)して行きます。
ここが一番大変な所です、防波堤の役目の糸目がないので滲んだりしたら大変です。
職人さんの腕の見せ所ですね。





葉の葉脈以外の茎や花、全ての輪郭を無線友禅で仕上げ、蒸し水元と呼ばれる工場に出し、友禅を定着させるために蒸して、余分なものを水で流します。
この段階で葉脈に置いた糸目糊が取れ、更に、友禅職人さんに糸目糊が取れた葉脈を無線友禅していただきます。
そしてもう一度、蒸し水元して仕上げに花の白線や細かな部分を描き入れます。
本当に気が遠くなる作業ですが、出来上がりを見て頂くと解りますが、分業制の京友禅は、お一人でやられる作家さんと違い、未知なる可能性を秘めてます。

素晴らしき京友禅に感謝


職人さんや染匠さんが、何人もの協力のお陰で出来上がった今回の別注は大変お客様も喜び、私自身も大変嬉しく感無量です。
出来上がった商品を問屋から仕入れて売るよりも、何倍もの感動があり、この仕事をやってて良かったと思います。
これからも、精進し自ら作品を作り続けたいと思います。


京呉服 不二屋
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